サラリーマンの悩み サラリーマンに最も必要な能力とは何か 

2025年2月3日

サラリーマンにいちばん必要なのは、上司と長い時間を一緒に過ごせる能力です。

あるコンサルタント

リクルートの社員からコンサルタントになった人の言葉である。この人の名前や著書、出版社は残念ながら覚えていないがこの言葉は鮮明に覚えている。過去にこの指摘をしたビジネス書を見たことが無かったからだ。

一番必要な能力とは、上司と長い時間を一緒に過ごせること

一緒に居られるのは相性や性格の問題であって能力ではないという人もいるだろう。出世に必要な条件が生まれつきの性格だったら、自己啓発は無駄になるし、大人になって性格を変えるのは難しいから出世は無理ということになる。性格で出世が決まると書いた本を買う人はいない。

サラリーマンの多くはこの能力の必要性に薄々気づいている。どんな会社にも、仕事ができて知識も豊富で人望もあるのに出世しない、そんな社員がいる。いっぽうで仕事や人望はいまひとつなのに昇進していく社員がいる。その差はどこからくるのか。それは一重に上司との関係にある。出世する人は上司としょっちゅう飲みに行ったり、ラインでつながったりとにかく長い時間を共有している。

上司から見ると、仕事ができるといっても同じ会社の社員の能力は本人が思うほど差がない。会社の風土が染み付いた人事担当者が社風にあった人を採用するからどうしても同じレベルになる。若い社員が上げる成果は本人が思うほど他人と差がない。部下からの人望というのもいい加減なものである。人望ではなくて上司と対立している姿が支持されているだけだったりする。また部下に人望のある人は上司との折り合いも良いものだ。

上司は、自分と上手くつきあってくれる部下には仕事を任せ易い、それでついつい頼んでしまう。居酒屋で刺し身をつまみながら「今度、新商品の開発がうちに来るらしいんだ」「それは凄い、部長の力ですね」「いやそんな事はないけど・・・人は増えないからたいへんだ」「それ、僕にも手伝わしてもらえませんか」「そうか、考えておくよ」「ありがとうございます」

そんな部下は仕事を多く渡されるから成果の数が多くなる。それで評価が高くなり更に仕事を任される。やがて小さな積み重ねが大きな差となる。きっかけは上司と飲んだ酒である。漫画みたいだが会社の仕事は八割方こんな風に決まっている。

課長 島耕作の能力

サラリーマンに大ヒットした漫画に「課長島耕作」がある。ストーリーは荒唐無稽だが現実的に感じさせる作者の力が素晴らしい。あるとき、島は大手代理店の社長が集まる宴会に出席する。長老の社長からその席でお座敷芸(裸踊り)を求められるがプライドが邪魔してできない。場がシラけかけた時、上司である中沢(部長後の社長)が裸で登場した。

島は、宴会の後屋台で酒を飲みながら涙を流して詫びる。中沢(阪大経済卒)は笑いながら言う。「大学院で経済を学び、会社へ入ったらパンツに褌のお座敷相撲だよ。マルクスやケインズ、院まで出て何やってんだと思ったもんだ」

島はサラリーマンはどういうものかを学び中沢が亡くなるまで付き合う。中沢が社長に昇進するのに連れて出世して行く。島耕作はまさに上司と長く一緒にいる能力を持っていたのである。

そんな能力は無いと思ったら

最近の若いサラリーマンは出世を望まないそうだが、それでも同僚や部下の昇進は気になる。他人が昇進して自分が昇進しなければ承認欲求が満たされないから、同期と同じくらいの出世はしたいと思う。そんなときに「上司と長くいる能力」が必要と言われても困ってしまう。

上司といつも一緒にいるなんて無理だ。できないものはできない。気持ちを抑えて上司に滅私奉公していたらストレスでまいってしまいそうだ。でも昇進はしたい。ではどうしたらよいか。まず最初にその能力の必要性を受け入れる。能力を持つ人に嫉妬して批判的になることを避ける。上司が可愛がっている部下を批判するのは上司を批判するのと同じで危険である。さらに才能がある人の真似ばかりすると卑屈に見られてしまう。

次は上司との距離感を意識してベストではないがベターを狙う。上司と離れていたい距離を考えて、その半分くらいの距離感を狙う。ゴルフや酒は2回に1回は付き合う。上司と意見が違っても2回に1回は(反発をおぼえても)ハイと言う。半分であればストレスも半分になる。

その程度の付き合いをしておけば敵対的な関係にならない。上司と居たくなくても少しだけ努力する。そのうちに長く過ごせる上司がやってくるかもしれない、自分が異動するかもしれない。その能力(性格)が無いと分かってもできることは多くある。ただ出世にいちばん必要な能力であると覚えておきたい。上司に贔屓されすぎると上司が倒れたときに共倒れの危険性があることも忘れてはいけない。出世は望まないが仕事はしたい人はバランスを取るのが一番良いのである。