サラリーマンのマナー サラリーマンに最も必要な能力とは? 

2023年7月8日

リクルートの社員からコンサルタントになった人の言葉である。残念ながら名前や著書、出版社は覚えていない。ただこの言葉は鮮明に覚えている。この指摘をしたビジネス書を見たことが無かったからだ。

サラリーマンにいちばん必要なのは、上司と長い時間を一緒に過ごせる能力です。

あるコンサルタント
会社は野原に似ているかも、色んな種類はあるけれどフラット

上司と長い時間を一緒に過ごせる能力

そんなことを書く本が少ないのは当然だ、それは性格であって能力では無いというのは正しい。出世に必要な条件が生まれつきの性格だったら、自己啓発は無駄になる。大人になって性格を変えるのは難しい。性格で出世が決まると書く本を買う人はいない。そんなやつはおらへんやろぅ。

サラリーマンの多くは、この性格の必要性に薄々気づいている。若い人は、出世(なんとなく昭和の雰囲気のあるのであとは昇進とする)を望まないそうだが、他人の昇進や評価は気になるものだ。人に承認欲求がある限り、裕福な人でも他者が受ける評価は気になる。

仕事はできるし、知識も豊富で人望もあるのに出世しない、そんな人がどの会社にもいる。仕事や人望はいまひとつなのに昇進していく人がいる。その差は上司との関係にある。出世する人は上司としょっちゅう飲みに行く、ラインでつながっている、とにかく長い時間を共有している。

同じ会社の社員の能力は、社員が思うほど差がない。会社の風土が染み付いた人事担当が、社風にあった人を採用するから、どうしても同じような人になる。若い社員が上げる成果は、本人が思うほど他人と差がない。部下からの人望もいい加減なものだ。本人の人望ではなくて、本人の上司と対立している姿が支持されていたりする。だいたい部下から人望のある人は上司との折り合いも良いものだ。

上司にすれば、自分と上手くつきあってくれる部下には仕事を任せ易いのでついつい頼んでしまう。居酒屋で刺し身をつまみながら「今度、新商品の開発がうちに来るらしいんだ」「それは凄い、部長の力ですね」「いやそんな事はないけど・・・人は増えないからたいへんだ」「それ、僕にも手伝わしてもらえませんか」「そうか、考えておくよ」「ありがとうございます」漫画みたいだが8割方こんな風に決まっている。

部下は、多くの仕事を渡されるから成果の数が多くなる。評価が高くなるから仕事を任される。小さな繰り返しの積み重ねがやがて大きな差となる。きっかけは上司と飲んだ酒である。所詮、人の世はこんなことで成り立っている。

課長 島耕作の能力

「課長島耕作」は、サラリーマンに大ヒットした漫画である。よく読むと荒唐無稽だが現実に感じさせる作者の力が素晴らしい。島耕作は上司と長く一緒にいる能力で出世していく。

ある日、島は大手代理店の社長が集まる宴会に呼ばれる。その席でお座敷芸(裸踊り)を求められるが、プライドが邪魔して踊れない。場がシラけかけた時、上司の中沢部長(後の社長)が裸で登場するのだった。

宴会の後、島は屋台で酒を飲みながら涙を流して詫びた。中沢部長(たぶん阪大経済卒)は笑いながら言う。「大学院で経済を学び、会社へ入ったらパンツに褌のお座敷相撲だよ。院まで出て何やってんだと思ったもんだ」サラリーマンはどういうものかを学んだ島は、中沢部長が亡くなるまで付き合うことになる。中沢部長が社長になるのと一緒に出世して行く。

長時間の付き合いは無理と思ったら

「上司と長くいる能力が一番大切である」に納得したとき自分には無理だと悟った。できないものはできない。気持ちを無理に抑えて、上司に滅私奉公していたらストレスでまいってしまう。

その能力が無いとわかったが、やはり出生はしたい時はどうしたらよいのか、まずはその能力が必要という事実を受け入れる。能力を否定してはいけない。もっといけないのは、能力を持つ人に嫉妬して批判的になることだ。上司が可愛がっている部下を批判するのは、その上司を批判するのと同じになる。才能がないのに真似をすると、周囲に卑屈だと見られてしまう。

上司との距離感を意識しよう。ベストではないがベターを狙う。上司と離れていたいと思ったら、離れていたい距離の半分くらいを意識する。ゴルフや酒なら2回に1回は付き合う。意見の相違があっても2回に1回は(反発をおぼえても)ハイと言う。半分と意識すればストレスも半分になる。

その程度の付き合いをしておけば、敵対的な関係にならない。そのうちに、長く過ごせる上司がやってくるかもしれない、自分の異動があるかもしれない。長くいる能力を持った人とは競うことなく、少しだけ努力して真似る(出来る範囲で)のが良いだろう。

上司に贔屓されるのは、上司が倒れたときに共倒れの危険性もある。ただ、そのような能力(性格)が出世にはいちばん必要であると覚えておきたい。