サラリーマンの悩み ゲームチェンジャーを目指そう

今は小泉と言えば進次郎議員であるが、その父親の小泉純一郎氏も絶大な人気を誇った総理大臣だった。彼と竹中平蔵氏は、その人気を武器に大胆な経済改革を行い日本社会を根本から変えてしまった。小泉改革以前、日本企業は世界からエコノミックアニマルと揶揄されながらもしぶとく米国や欧州の企業と戦っていた。会社員はその自己犠牲に近い働き方を批判されたがそれを楽しんでいたのである。

米国は、その働き方が日本企業の強さの源と知り、これを潰そうとゲームチェンジを仕掛けた。その意を受けた小泉首相は「自民党をぶっ壊す」と改革を叫びメディアが追随した。当時は国民の情報源はテレビと新聞だけだったのでメディアに乗せられた国民は熱狂した。多くの人は「ぶっ壊す」を改革の比喩と受け取けとったが、小泉氏や米国の目的は日本の経済と社会をぶっ壊すことだった。米国のゲームチェンジは成功し日本企業は輝きを失ったのである。

スター・トレック カーク船長は優れたゲームチェンジャーである

心配するな、コバヤシマルのシミュレーションをクリアした者は一人しかいない。

どうしたらクリアーできるのですか  

前日に、シミュレーターのルールを変えてしまったのだ

そんなこと・・・誰。

USSエンタープライズのカーク船長だよ。

20××スター・トレックより

スタートレックは誰でも知っているSF映画だ。人気テレビ番組から映画化されシリーズになった。映画の初回に登場したカーク船長やミスタースポックは少々お年を召されていたが、映画は面白い作品になっていた。引用は映画の1シーン、女性艦長が脱出シュミレーションに何度も失敗したときの試験官の回答である。

脱出シミュレーションは絶対にクリアーできない設定だった。それをクリアした者が一人いた、カーク船長である。彼はクリアーできない仕様になっていると知って、試験の前日シュミレーション室に侵入してゲームの設定を変えてしまったのである。

カーク船長はすばらしく弁が立ち、時には人類よりはるかに進化した異星人にたいして議論を吹っかけ勝ってしまう。物質文明を超えた精神だけになった生命体さえ言い負かすという恐るべきディベート力の持ち主である。彼は優秀な軍人だがビジネスマンとしても成功したはずだ。ディベート重視の米国流ビジネスマンの典型になっただろう。

1980年代、日本企業は社員の滅私奉公を原動力に世界経済を席巻した。米国の恐ろしいところは、高額の関税や輸入規制だけでなく、会社員の働き方を変えるというゲームチェンジを仕掛けたことだ。自分の成果より集団の成果を重視し私生活と会社生活を区別しない日本人の働き方を変えようとしたのだ。

働き方のゲームチェンジで敗れた日本

米国は、小泉首相や竹中氏を初めとした学者、マスコミを使って、これからは成果主義だ、長時間労働はいけない、生産性向上だ、終身雇用より派遣労働が素晴らしいと国民を洗脳した。会社員自身も、改革の言葉に乗せられ、がむしゃらに働くのは格好悪い、成果主義が良いと応じた。

成果主義の導入や既存の制度の破壊(自民党をぶっ壊す)に疑念を持つ人はいたが、テレビ番組で竹中氏の立板に水の主張や小泉首相の詭弁に散々やっつけられてしまった。マスコミは小泉改革を誉めそやし国民が素晴らしいと信じてしまったので反対派はお手上げになった。就職前の若者はフリーターのような自由な生き方がカッコ良いと吹き込まれた。その結果が現在のその世代の惨状である。

日本経済が輝きを失ったのはバブルの崩壊よりも働き方が変った影響が大きい。日本は小泉改革以降米国のゲームのルールで戦っている。最近は、GAFAによって情報の収集や発信、思考法まで支配されてしまった。勝てないのは当然である。米国は戦争でなく技術で世界を制覇している。中国は批判される点も多いが、この支配に中国流で抵抗する唯一の国である。日本も日本流の働き方をしないと負け続けるだろう。

米国流  チェンジ・ザ・ルールとは

コロナによって、多くの人がテレワークが増えた。それは、アメリカへの依存度がましたということです。EUは、米国のソーシャルネットワークを閉鎖し良質のネットワークを構築する事が必要です。                        

‐マルクス・ガブリエル、哲学者‐

米国はデファクトスタンダードやプラットフォームを作る。ゲームでいかに戦うよりゲーム自体を作ろうとする。それに気づいた欧州はGAFAの支配を批判し中国は米国ネット支配に挑戦している。しかし一度できたルールは変え難く米国の優位は動かない。

日本は世界標準をつくるのが苦手である。その能力を持たないのではなく「和を持って尊し」とする性格が他者に自分のルールを押し付けるのが苦手なのだ。だからこれからも米国のルールに従うしかない。そのルールのなかでも日本人の特長を活かすことはできる。それは働き方である。

米国人と同じ働き方で勝てるはずがない。集中力に秀でる米国人が1時間できる仕事をそれに劣る日本人は2人で1時間かけてやれば良い。日本人の集団で長い時間働き続けられる能力を活かすべきだ。大きなゲームチェンジは苦手だがKAIZENのように仕事のやり方を良くするのは得意である。日本人が日本人の特長を活かしていけば、やがて大きなゲームチェンジに繋がるはずである。同じことをしていては勝てないのだ。

米国のゲームチェンジの考え方が良く分かる本がある。「チェンジ・ザ・ルール」は、コンピューターソフト会社の社員がクライアントの在庫削減に挑戦する姿を通じて、職場に新ルールを導入する困難さを物語風に描いている「ボトルネック」の言葉で良く知られている本である。

少し古い本だがサラリーマンなら読んでおきたい一冊。