サラリーマンのマナー ゲームチェンジャーになろう

2024年8月23日

小泉と言えば今は進次郎議員であるが、その父親である小泉純一郎は絶大な人気を誇った総理だった。彼と竹中平蔵氏が主導した経済改革は日本経済を根本から変えてしまった。その影響は現在まで続いている。日本企業は、小泉改革以前はエコノミックアニマルと揶揄されながらしぶとく米国や欧州と戦っていた。強さの源泉は会社員の自己犠牲とも言える働き方にあった。日本人はその働き方を楽しんでいた。

米国は、その働き方が強さの源と知りゲームチェンジで潰そうと考えた。その意を受けた小泉首相は「自民党をぶっ壊す」と日本の改革を叫んだ、これにメディアが追随した。当時は、国民の情報源はテレビと新聞だけだったので、メディアに乗せられ熱狂した。国民は「ぶっ壊す」を改革の比喩と受け取けとったが、小泉氏の目的、米国の目的は日本経済と社会をぶっ壊すことだった。米国のゲームチェンジは成功し日本の企業は輝きを失った。

スター・トレック カーク船長は優れたゲームチェンジャーである

心配するな、コバヤシマルのシミュレーションをクリアした者は一人しかいない。

どうしたらクリアーできるのですか  

前日に、シミュレーターのルールを変えてしまったのだ

そんなこと・・・誰。

USSエンタープライズのカーク船長だよ。

20××スター・トレックより

スタートレックは誰でも知っているSF映画で。人気テレビ番組から映画化のシリーズになった。初回の銀幕に登場したカーク船長やミスタースポックは、少々お年を召されていたがSFXの進歩によって面白い作品になっていた。引用は、その映画の1シーン、女性艦長が脱出シュミレーションに何度も失敗したとき試験官に問いかけた回答だ。

この脱出シミュレーションはクリアーできない設定だった。それをクリアした者が一人いる、カーク船長である。彼はクリアーできない仕様になっていると知り、試験の前日シュミレーション室に侵入、ゲームを変えてしまった。

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カーク船長はすばらしく弁が立つ。人類よりはるかに進化した異星人に議論を吹っかけ勝ってしまう。物質文明を超えた精神だけの生命体さえ言い負かす。恐るべきディベート力である。カーク船長は優秀な軍人だが、ビジネスマンになっても成功しただろう。ディベート重視の典型的な米国流ビジネスマンだ。

1980年代、日本企業は世界経済を席巻した。その原動力は社員の滅私奉公にあった。米国は、高額関税や輸入規制だけでなく、その働き方を変えるというカーク船長が得意とするゲームチェンジを仕掛けた。集団で働き、自分の成果より会社の成果を重視し、私生活と会社生活を一体化さす働き方を変えさそうとしたのである。

働き方のゲームチェンジで敗れた日本

米国は、小泉首相や竹中氏を初めとした学者、マスコミを使って、これからは成果主義だ、長時間労働はいけない、生産性向上だ、終身雇用より派遣労働が素晴らしいとやった。サラリーマン自身もしんどいより楽がいい、自分は成果をあげる方だから成果主義にすべきだと応じた。

成果主義の導入や既存の制度の破壊(自民党をぶっ壊す)に、疑念を持った人はけっこういたが、テレビ番組で竹中氏の立板に水の主張や小泉首相の詭弁に散々やっつけられた。マスコミは小泉改革を誉めそやしたので、国民も素晴らしいと信じた。反対派はお手上げだった。就職前の若者はフリーターの自由な生き方がカッコ良いと吹き込まれ、現在の惨状となった。

過去にこれと似たことがあった。在日朝鮮人の北朝鮮帰還運動だ。メディアは北朝鮮は地上の楽園だから、在日の人は帰りましょうと運動を煽った実際北朝鮮のGDPは韓国より良かった。。結果は現在見ている通りである。

日本経済が輝きを失ったのは、バブルの崩壊よりも働き方を変えた影響が大きい。日本企業は、小泉改革以降米国のルールで戦っている。大勝できないのは当然である。最近はGAFAによって、情報の収集や発信、思考法(エクセルで考える)まで支配されている。米国は戦争でなく技術で世界を制覇した。中国は、批判される事も多いがこの支配に抵抗している唯一の国である。

米国流  チェンジ・ザ・ルールとは

コロナによって、多くの人がテレワークが増えた。それは、アメリカへの依存度がましたという ことです。EUは、米国のソーシャルネットワークを閉鎖し良質のネットワークを構築する事です。                        

‐マルクス・ガブリエル、哲学者‐

米国のビジネスはデファクトスタンダードやプラットフォームを作ろうとする。欧州はGAFAの支配を批判し、中国は米国ネットワーク支配に挑戦している。しかし一度できてしまったルールは変えにくく米国の優位は動かない。米国は、ゲームでいかに戦うよりゲーム自体を作ろうとする。

日本は残念ながら世界標準をつくるのが苦手である。能力が無いのでなく「和を持って尊し」とする性格が、他者に自分の言い分を押し付けるのが得意でないからだろう。これからも米国の経済ルールに従って戦うしかない。

同じ経済ルールで戦うなら日本人の特長を活かす事が必須である。それは働き方である。集中力に秀でる米国人が1時間できる仕事を、それに劣る日本人は2人で1時間でやれば良い。集団で長時間働ける能力を活かすべきなのだ。米国人と同じ働き方で勝てるはずがない。

日本人は大きなゲームチェンジは苦手でも、KAIZENのような会社の中で仕事のやり方を変えるのは得意である。そこから出発して、サラリーマンがゲームチェンジを意識すれば、やがて大きなゲームチェンジができる。

そのヒントになる本がある。「チェンジ・ザ・ルール」は、コンピューターソフト会社の社員がクライアントの在庫削減に挑戦する話である。「ボトルネック」の言葉で良く知られている。職場に新ルールを導入する困難さを物語風に描いている。

少し古い本だが、米国のゲームチェンジの考え方が良く分かる。サラリーマンなら読んでおきたい一冊である。