禅語は最高 疾風知勁草 人の真価は逆境のときにわかる

2024年6月27日

禅は難しいし禅語も難しい。だから勝手に解釈して勝手に良いと思っている。慧能禅師や道元禅師、一休さんや良寛さんも「それで良い、それで良い、Let it be じゃ」と言ってくれそうな気がする。

今日は「疾風知勁草 疾風に勁草を知る」である。

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たった一人、光武帝を助けた王覇

「疾風に勁草を知る」は後漢書の王覇伝にある味わい深い言葉である。

劉邦は、庶民から身を起こし紀元前202年に漢を建国した。漢は長く繁栄を続けたが奸臣王莽の簒奪により紀元8年に滅ぶ。王莽は、現実を無視して政治を行ったので社会は乱れ民は大いに苦しんだ。後の洪武帝はそれを見かねて王莽を倒そうと挙兵する。しかし戦況は振るわず臣下は一人また一人と去っていった。

最後に残ったのは王覇ただ一人。「而子独留努力、疾風知勁草 (子独り留まり努力する、疾風に勁草を知る)」と洪武帝は王覇にしみじみ語った。みんな私のもとから去っていったが、君は一人残り助けてくれる。厳しいときに初めて人の値打ちがわかるものだという意味である。後に、洪武帝は王覇と共に王莽を倒して後漢を建国した。

勁草とは強い草であり、疾風は疾く激しい風である。疾風に勁草を知るとは、普段は同じように見える野原の草にも強い草と弱い草がある。激しい風が吹くと折れない草(勁草)と折れる草がわかる。人も同じで、逆境になると強い人と弱い人がわかる。人の真価は逆境に現れるのである。

宋書に似た言葉がある。「疾風知勁草 厳霜貞木」厳霜貞木は、厳しい霜が降りると枯れない木(貞木)を知ることができる。疾風に勁草を知ると同じ意味になる。私たちの周りにはたくさんの人がいる。漠然とつきあっていれば誰が勁草かわからない。逆境に置かれる前に勁草を見極め、自身が勁草になれるように努力しないといけない。

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ウクライナに吹き荒れる疾風と勁草

いま世界中に疾風が吹き荒れている。ロシアはウクライナに侵攻し中国は覇権主義を続けている。イスラエルとハマスの戦いは終わらない。惨状は目を覆うばかりだ。疾風はウクライナの草原にまだ吹き荒れている。ロシアはウクライナを簡単に踏みしだけると思ったがウクライナの人達は勁草だった。プーチン大統領は彼らの強さを見誤った。

王覇のような人たちがゼレンスキー大統領を支えている。彼らは逆境にあっても大統領のもとを去らなかった。プーチン大統領の傍に王覇のような人物はいない。プリコジンが去りルカシェンコが支えるのみである。両者の差は大きい。ウクライナは逆境にあるがいつか平和を取り返すだろう。王覇のいないロシアは苦難の道を歩むだろう。

疾風が吹き荒れる今の世界、すべての人が勁草であるかを試されている。

禅語

Posted by 街の樹