本 「とにかく死なないためのしょぼい投資の話」目から鱗の投資術

2024年11月15日

世の中には、生まれながらの大金持ちの人がいるが、殆どは生活に追われながら日々を過ごしているだろう。そのなかには、金持ちをなりたいと強烈に思う人がいれば、好きなことだけをしたい人もいる、いろいろな事情で働けない人もいる。どのような人でも暮らしていくには最低限のお金が必要である。そのお金を投資で儲けられないか、と思ったときこの本読めば良い。

お金が欲しいとき

サラリーマンは、収入は安定しているがそれを短期間に増やせない。副業という手はあるが、多くの会社は副業を禁止している(コロナ不況で解禁する企業は増えている)だが投資を禁止している会社は殆どない。副業と投資は、自分が働くかお金を働かすかの差はあるが、同じ金儲けなのに不思議なことだ。

働けない、起業もできない、投資しようにも元手がない・・・ それでも生きていくための「働く以外の方法」

とにかく死なないためのしょぼい投資の話 えらいてんちょう(矢内東紀)著 河出書房新社

実際に株式や信託投資をする人は多くいる。株式投資はリスクが伴う。投資を始めたいと思う人は「とにかく死なないためのしょぼい投資の話」を読むべきだ。証券会社の投資情報と異なった視点がある。

投資のリテラシー

筆者「えらいてんちょう」は就職をするときにサラリーマンは到底無理と考え起業家になった。色んなことをやりながら妻と子供と暮らす金を稼いでいる。彼は、不安定な将来に備えて投資はすべきだが、死なない程度の投資でないといけない、死なないためにお金の価値や投資の本質を知らなくてはいけないと述べている。

筆者は若者にずいぶん人気があるようだ。社会にバグがあると経済が混乱する、心理的債権は物理的な債権より重要である、平時は、金の総量が増えないので、投資は一人勝ちする者とその他大勢の負け組になるので慎重にしなくてはならない。2000万円問題のように遠い未来の資産を計算するのはこれからの不確定さを考えれば意味がない。などの現代風の表現が受けるのだろう。軽すぎる印象はあるが、お金や投資の考え方は王道を行っている。

この本に簡単に儲かるノウハウは書いていない、そもそも世の中はそんなものはないとも書いている。筆者が伝えたいのは投資のテクニックでなく投資の心構えだ。投資の基礎知識の説明の後で、危ない投資と死ぬ確率を減らす方法を述べている。こちらが本命だ。

投資は株やFXだけでは無い。人へ投資も大切な投資である。人への投資のリターンは人の助けである。「しょぼい投資」でいちばん重要な投資対象は人なのだ。助け合いが生活の糧を得るための重要な投資になる。人への投資は古くて新しい考え方である。昔は人への投資は当たり前だった。出世払いで良いという言葉がそれを表している。株や投資信託、FXや暗号資産などの金融商品だけが投資と思い込むのはもったいない。それを若者に伝えたいようだ。

しょぼい投資を考えてみよう

筆者は、投資は自分が望む生き方をするためのお金を儲けるのに有効だが、必要以上の金を無理して投資してはいけないと考えている。ほどほどに楽をしながら資産形成をするのが良いのだ。投資を職業とする以外の人が、投資をしようとする理由は子供や家、老後の資金や親の介護への備えだろう。

子供を大学へ進学させ、親の面倒もみるとなると一部上場会社で働いていて大変な重荷になる。給料だけでがむしゃらに乗り切っても学資ローンが残ったりその後の生活を切り詰めたりと大変になる。子供が成長するまでに給料以外の収入を持てれば生活や心に余裕がでる。お金のいる日に備えて投資をするのは良いことだ。

そのような投資は、生活費を確保してそれ以外の収入を投資をする「とにかく死なない投資」がふさわしい。何事も無理をしたくないが将来の備えは欲しいと思う人にピッタリの一冊。

お金には使う旬がある

豪勢な暮らしや世界旅行をする資産は十分にあったのに、仕事ばかりしているうちに若くして亡くなる人がいる。仕事は楽しいが、それだけで終わるのも何か寂しい。お金を貯める目的は何だろうとの疑問も浮かぶ。ビル・パーキンソンは著書「DIE WITH ZERO」で言う。「アリはいつ楽しむのだろう」誠にその通りである。しょぼい投資で将来に備えたまには遊ぶ、それができたらすばらしい。